[ちゃんぷるー・どっとこむ 応援団 (チバリヨー) 寄稿]

沖縄 (ウチナー) でーびる・その7

 

文・写真 稲福 達也

モノレール節

 8月、那覇空港と首里の12.9kmを2両編成(定員 165名)で走るモノレールが開業した。文明開化 のようなその騒ぎのさなか、1914年に創業し沖縄戦で破壊された軽便鉄道を謡った『軽便鉄道節』を初 めて聞いたが、沖縄民謡らしい可笑しさに溢れていた。
    ♪軽便汽車乗てぃ  まーかいが (どこいくの)
  那覇ぬ 市ぐゎぬ (いちばの)  樽皮屋
  買てぃ戻やい 砂糖代
   だてーん儲きてぃ 家ふちゅん (うんともうけて いえをたてる)
   シタイ (りっぱよ) ! あひ小  ちばりよー (がんばって)
  鳴ゆる汽笛ん アフィー! アフィー!
モノレール
首里駅を出るモノレール 

 方言がわからないとこの歌詞の面白さが伝わらないが、彼氏のことを方言で“あひ (グヮ) ”とか“あひー”といい、それに掛けて「汽笛も“アフィー”と鳴っている」のだ。2番以後 の歌詞も、桃売り娘の機関車より熱い恋心や、軽便鉄道に乗って行商や清明祭に行く人の様子がコミカ ルに描かれ、曲のテンポも、汽笛がヤマト風に ポー (・・) と鳴らないように、 シュシュポッポ (・・・・・・・) の力強さと速さではなく、 スッタン (・・・・) ガラガラ (・・・・) と走り、雨の日には坂を登れなかったという軽便鉄道を彷彿とさせる。
 今、“アフィー”の汽笛一声もなく、モダンなモノレールが街を走るが、世相の断面を 三線 (サンシン) ひとつで民謡にするウチナーンチュだから、そのうち『モノレール節』が作られるだろう。街 の景観は変わったが、その『モノレール節』に謡われる人の姿は、『軽便鉄道節』のように、“モノ レール乗てぃ  まーかいが (どこいくの) ”という調子であって欲しい。



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