[ちゃんぷるー・どっとこむ
応援団
寄稿]
沖縄
でーびる・その1
文
稲福 達也
南の島
秋田の田舎を旅した時、宿帳に沖縄と書いたら、民宿のおばちゃんに「えーっ、沖縄!沖縄の人なら
比嘉
さんを知っとるだか?」と言われたことがある。沖縄の比嘉さんはヤマトでいえば佐藤さんのようなも
ので、そこかしこにごろごろいるから、何処で何をしている人か尋ねると、それはよく知らないが数年
前に宿泊した人だという。どうやらこのおばちゃんは、沖縄は南の果ての小島で、島では誰もが知り合
いだと思っているようだ。
沖縄は小さな世界という思い込みは、当のウチナーンチュにもある。東シナ海の端に点在する小さな
島々がそこに住む人の日常の生活空間だから仕方がないが、しかし、その範囲は、東は北大東島から西
の与那国島まで約1000 km、北は硫黄鳥島(今は無人島)から南は波照間島まで約400 km
に及ぶのだ。それでピンとこなければ、東西540 km南北450 kmで国土面積の5分の1を占
める北海道と比べてみるといい。まさに沖縄は南の”でっかいどう”だということがわかる。そこには
シマチャビ(離島苦)の歴史もあるが、この大きな
美
ら海
美
ら島には再びあの”鉄の暴風”さえ吹かなければいい。
あの民宿のおばちゃんは、暖かい南の島に一度は行ってみたいと話していたが、その後どうしただろ
う。その時、沖縄は広くて比嘉さんにも会えないだろう、とその夢を壊すようなことは言わなかったが
、まさか私の後に宿に来たウチナーンチュに、今度は「沖縄の人なら稲福さん(私)を知っとるだか?
」と訊いてはいないだろうな。
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