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慰霊の日の1週間ほど前に、知人からこのドキュメンタリー映画のことを知らせるメールを頂き、何か
慰霊の日にふさわしいコンテンツはないかと思っていた私は早速 |
この作品は、沖縄戦で米軍が最初に上陸した慶良間諸島で行われた、「玉砕」という美名のもとに強いられた 「虐殺」の悲劇の真実を、27名に及ぶ生存者の貴重な肉声で明らかにするドキュメンタリー映画です。上映前に 結構な量の資料やパンフレット、映画を紹介した新聞記事のコピーなどが配られ、会場となった明治大 学の先生の簡単な説明と、朴壽南監督の話がありました。資料を読み、先生や監督の話を聞いていると、映画 で真実を浮かび上がらせようという決意と、証言をした地元民を愛おしく大切に思う気持ちが伝わってきて、 映画に対する期待が高まってきました。
映画を観てまず感じたことは、体験した人の証言は重い、ということです。これは映画「ひめゆり」をはじめ、 良質なドキュメンタリーを観たときにいつも感じることですが、私のような戦争を経験していない者にとって、 体験者の証言は、証言者の年齢、性別、話のうまいへた、に関わらず全て説得力のある宝物。現在の目を覆い たくなるような日本の政治状況を見ていると、自衛隊とか右翼によってクーデターでも起こった方がいいん じゃないか、領土問題でロシアや中国のやりたい放題を見ていると、いっそ核武装したほうがいいんじゃないか、 とちらっと思いますが、戦争体験者の証言を聞くと、どんなことがあっても戦争だけは絶対ダメ!という私の 原点とも言うべきシンプルな考えに、簡単に立ち返ることができます。
映画としては荒削りで、この場面でこの音楽?と疑問に思うシーンもありましたが、この映画でも、証言者の 話にはいちいち説得力があり、集団自決(という言葉を、監督は意識して使わず玉砕と言っていましたが)に 実際に関わった悲しみ、目の当たりにした悲しみ、そういうことに自分たちを追い込んだ日本軍に対する怒り が、ストレートに伝わってきました。中でも特に印象的だったのが、朝鮮人軍属の証言です。慶良間諸島で 玉砕が強制されたことは、教科書問題や裁判にもなり知っていましたが、そこに1000人もの朝鮮人軍属や21人の 少女が従軍慰安婦として連れてこられたことは、全く知りませんでした。
以前取り上げた未決・沖縄線でも、朝鮮人軍属や慰安婦に関する証言があり、 印象的だったのですが、この映画では、監督がなんと元朝鮮人軍属を連れて慶良間を訪れる様子が映し出さ れていて、衝撃的でした。仲間が虐殺された場所で、逢いに来たよ、と叫び、朗々と歌を歌う(これがしろうと と思えぬうまさ)場面では、涙が止まりませんでした。彼らの証言も辛い内容で、彼らについて証言する地元民の 話も悲惨な内容でしたが、救いだったのは、元朝鮮軍属たちが体験を切々と語りながらも、恨みがましいこと は一切言わず、地元民に対する態度も友好的だったことです。
映画の終盤ではこの元軍属と監督一行は沖縄本島を訪れ、従軍慰安婦と同じ壕に入っていたというオバア達の
話を一緒に聞きます。従軍慰安婦とは言葉も通じないしほとんど交流はなかったようですが、慰安婦たちがが
寂しげにいつも歌っていた「アリラン」のメロディーを、オバアが歌った時には胸が詰まりました。そして、
慶良間での元軍属たちの経験をかいつまんで聞いたオバアが言ったひとこと、「
韓国が大統領選を控え日本に対し友好的な態度が取りづらいこともあるのでしょう、現在従軍慰安婦問題を
始めとして戦後補償問題がまたくすぶっていますが、元軍属とオバア達の様子を見て、沖縄の戦争体験者と
戦争中沖縄で従軍した朝鮮人がもっと交流を深めて、「お互い
ともかく、これから全国各地で上映会が行われると思いますが、できるだけ多くの人に見てもらいたいです。
7/11/12
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