［ちゃんぷるー・どっとこむ 応援団 (チバリヨー) 寄稿]

沖縄 (ウチナー) でーびる・その１５

山城饅頭の香り

　首里に創業百年余の 山城饅頭 (やまぐすくまんじゅう) がある。小豆の餡を小麦粉の薄皮で包んだ素朴なもので、蒸す時に使うサンニン（月桃）の葉 が 香 (かぐわ) しい。手作りで日持ちもしないからおみやげ品店に並ぶことはなく、店に行かないと買えない。 山城饅頭を紹介したあるホームページに定休日は月曜と用事がある時とあったが、きっと主のオバアが「 用事があれば休むさぁ」と真面目な顔で答えたのだろう。
　ある日、午後から仕事に行くことになり、職場のお茶うけにと思いついて、久しぶりに山城饅頭を買っ た。その時たまたまタクシーで出勤したが、暫くすると女性の運転手が、いい匂いがしますね、と話しか けてきた。手にした饅頭の包みからサンニンの香りが漂いだしたのだ。山城饅頭の説明をすると彼女はよく知って いて、首里の名物ですよね、と言う。子供の頃からその味を知っている私は、自分が褒められたようで つい嬉しくなり、「　 ハイハイ (さあさあ) 、旅は道連れ、一緒に食べながら行きましょう」と包みを開け、彼女も喜んで頬張った。それか ら１年近く経ってタクシーに乗ったら、「お客さん、以前、運転手に山城饅頭をあげたことがないです か」と訊く。「えーっ！あの時の運転手さん？それにしてもよく私が判りましたね」「変わったお客さん は覚えるものですよ（笑）」「 アイ (あら) 、あなたも食べながら運転していたさぁ（笑）」
　沖縄のタクシーは無愛想といわれるが、山城饅頭の香りが取り持つ縁もある。

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小池　牧子さんから次の感想が寄せられました。ありがとうございました。01/09/04 いつも楽しく拝見させていただいています。沖縄のタクシーは無愛想なのです か？私が以前行った石垣の運転手さんはとても楽しかったので思わずメールさせていただ きました。星が好きな方だったらしく、途中で車を止めて「星でも眺めましょう」です よ。こちらも酔っ払っていたので「はい、そうしましょう」でしたけど・・・、沖縄の良 い思い出になっています。山城饅頭、首里に行く機会があったら是非食べてみたい！と思 います。これからも楽しいお話、読ませてくださいませ。