私のウチナーグチ考
1960年生まれ、一緒に住んでいた祖母や両親との会話は100%標準語、祖母、
両親間の会話は100%ウチナーグチで、それを聞いて育った私なりのウチナーグチに対する思い出や思
い入れを紹介します。
第9回 オバア達の外来語・その4
オバア達の外来語、今回は英語以外の言語から来たことばを紹介します。
私自身、耳にしたことはないのですが、ウチナーグチでせっけんのことを「サフン」と言います。こ
れが実は「シャボン」と同じ、オランダ語からの外来語らしいのです。
私の母方の祖父は色が白く背が高かったらしいのですが、そんな彼についたあだ名は「ウランダー(オラ
ンダ人)」。今ならきっと「アメリカー(アメリカ人)」でしょう。太平洋戦争後のアメリカ統治のせい
でずいぶん英語が外来語として流れ込んできましたが、戦前までは沖縄でも日本本土と同じように西洋と
言えばオランダだったのでしょうか。
子供の頃、大人が使っていた記憶はあまりないのですが、特に男の子の間で、死ぬことを「パタイ」
と言っていました。チャンバラごっこや陣取りといった遊びの中で「やられた、俺はおしまいだ」とい
う時に「パタイ!」と言っていたわけですが、これは沖縄戦で米軍に従軍していたフィリピン兵が使っ
ていたタガログ語から来ている言葉のようです。
「サフン」や「パタイ」は、学生時代に言語学の先生から聞いた話の受け売りなのですが、ウチナーグチ
における外来語も英語だけではなく、日本語における外来語と同じようにさまざまな言語に由来している
のでしょう。
オバア達の外来語、最後はオバアと呼んだら怒りそうな私の叔母のエピソードです。
子供の頃、知念村にある母の実家でお盆か法事で親戚が集まった時のこと。私を含め小学校高学年の子供
たちが農作業用の一輪車に2、3才のオチビさん達を乗せてサトウキビ畑の中を駆け回っていると、叔母
が危ないから止めなさい、と声を掛けました。「これはエンヤー不足だからね」と言ったのです。このエ
ンヤーはエンヤコラサッサのエンヤだろうか、とりあえず止めておこう、とその時は思ったのですが、今
はこのエンヤーはairで、つまりタイヤの空気圧が足りない、という意味だったのではと思います。叔母に
確かめたことはありませんが・・・
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