しまぞーり 私のウチナーグチ考 しまぞーり

1960年生まれ、一緒に住んでいた祖母や両親との会話は100%標準語、祖母、 両親間の会話は100%ウチナーグチで、それを聞いて育った私なりのウチナーグチに対する思い出や思 い入れを紹介します。

第6回 オバア達の外来語・その1

沖縄の、少なくとも私と同世代以上の年齢の人は「栓抜き」のことを「オープナー」と言います。 沖縄で栓抜きを「栓抜き」と呼んでいるのを聞いたことがありません。逆に、東京で栓抜きのことを 「オープナー」と言っているのにも、出合ったことはありません。私が推測するに、ビールやサ イダーといった栓抜きを必要とする飲み物は、戦前の沖縄ではごく限られた裕福な家庭で楽しまれて いただけで、したがって一般庶民の家庭には栓抜きは無かったのではないでしょうか。あれは戦後コカ ・コーラと共に「オープナー」として沖縄の一般家庭に普及したのではないか、と睨んでいます。

で、今回はヤマトとはちょっと違う、沖縄の外来語事情を取り上げたいと思います。

最近はどうか分かりませんが、私が沖縄に暮らしていた15、6年前まで、沖縄には「コーヒーシ ャープ」「ラウンドリー」といった看板が結構ありました。普通だったら「コーヒーショップ」「ラン ドリー」です。ヘンだなあ、と思っていましたが英語を勉強するようになって、この普通ではない「シ ャープ」「ラウンドリー」の方が、英語本来の発音に近いことが分かりました。沖縄の人は耳で英語を 覚えたのだろう、と思いましたが、それなら何故「カフィシャープ」「ラウンドゥリー」とならなかっ たのか、という疑問も涌いてきます。何事も極めないことが沖縄流、ということでしょうか。

それでもやはり沖縄の外来語、英語の方が本来の音に近い、ウチナーンチュの英語の発音の方がヤマト ゥンチュのそれに比べてネイティブに近い、ということは一般的に言える、というのが私の印象です。 おそらく、ウチナーグチの方が日本語より英語に近い母音や子音を有しているからでしょう。 例えば、私が東京で働き始めた頃、どの職場にもNTTのことを「エヌテーテー」というオヤジがいて、 びっくりしたものです。こんなオヤジは沖縄には棲息していません。

そんなオヤジも最近は見かけなくなったなあ、みんな定年退職したかなあ、と思っていましたが、 先日そんな「若者」を発見しました。サイト運営初心者の私は、分からないことがあるとすぐヘルプ デスクに電話をして助けてもらっているのですが、先日その親切な、明らかに私より若いと思われる担 当者がFTTP転送ファイルというのを「エフテーテーピー転送ファイル」と言っていたのです。それ を聞いた時には何だか嬉しくて、にんまりしてしまいました。ヤマトゥンチュはウヮー(豚)も苦手だ けれど、実はティーが苦手な人も結構いるのですね。ウチナーグチにはティーダ(陽の光)ということ ばのように、「ティー」の音がもともと存在しているので、Tをすんなり「ティー」と言えるのでしょ う。

さて、前置きが長くなりました。「オバア達の外来語」本題は次回、です。

しまぞーり

このページに関するご意見、ご感想はこちらまで。

お名前:
メールアドレス:
ご感想:

HOME