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私のウチナーグチ考
1960年生まれ、一緒に住んでいた祖母や両親との会話は100%標準語、祖母、
両親間の会話は100%ウチナーグチで、それを聞いて育った私なりのウチナーグチに対する思い出や思
い入れを紹介します。
第37回 ワタクシ
ウチナーグチでワタクシと言ったら、「私」のことではありません。いわゆる「へそくり」の
ことです。標準語のへそくりもそうだと思いますが、ウチナーグチのワタクシも、妻が夫から渡
される生活費の一部をコツコツと貯めたお金、という感じがします。男の人が妻に隠れて?こそこそと
蓄えたお金、という場合もあると思いますが。
「大丈夫、私のワタクシだから」、などと寒いオヤジギャグとしてもよく使われていました。これに
おなじみ、小をつけて、「ワタクシ
小で○○を買った」なども大人からよく聞
いたせりふです。誰にも気兼ねせず、自分の自由になるお金のことですが、「お小遣い」と違ってちょっ
と後ろめたい感じがします。自分自身ではほとんど使わなかったことばですが、よく耳にした、懐かしい
ことばです。
一番印象に残っているのは私が結婚した時のこと。結婚披露宴の前に親しいおばさんたちが次々と家に
やって来て、「うね、これはあんたのワタクシ小
にしなさい。」と言って、私にお祝儀を渡すのです。披露宴当日にも他の招待客と同じようにお祝
儀を出してくれました。私もこのとき分かったのですが、沖縄ではおじさん、おばさんは披露宴当日とは
別に、自分の姪っ子甥っ子に直接お祝儀を渡す習慣があるのです。披露宴の時のお祝儀は「公」で、直接
手渡すお祝儀は「私」だから、ワタクシ小
と言って渡すのね、と妙に納得しました。
私の場合、披露宴当日のお祝儀は嫁ぎ先の収入になるわけで、それとは別に姪っ子が直接自由に使えるお金を渡
したい、とおじさんおばさん達は考えてくれたようで、その気持ちがすごくありがたかったです。私は
結婚と同時にふるさとを離れ、東京で暮らすことになっていたので、余計に心配したのだろうな、と思い
ます。家事もろくに仕込まれていず、世間知らずなこの娘が果たして大都会で所帯を切り回していけるの
だろうか、と思ったのでしょう、「うりんかい、ちねーむちゆーすがやー(この子に所帯が切り
回せるのだろうか)。」などと心配そうに話していましたね。
ワタクシと標準語の「私」とは何の関係もないと思うのですが、やはり非常に個人的なお金なので
ワタクシなのかなあ、という気もします。どなたか、ワタクシの由来を知っている方がいら
したら、是非教えて下さい。
12/13/10
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