Home>私のウチナーグチ考>サイトマップ
私のウチナーグチ考
1960年生まれ、一緒に住んでいた祖母や両親との会話は100%標準語、祖母、
両親間の会話は100%ウチナーグチで、それを聞いて育った私なりのウチナーグチに対する思い出や思
い入れを紹介します。
第27回 巡査はウチナーグチ?
「私のウチナーグチ考」を書き始めた頃、てっきり標準語と思っていたのに実はウチナーグチや
ウチナーヤマトグチだった、ということば「ひざまずき」や「むちゃむちゃ」を紹介しましたが、
逆のことばもあります。つまり、てっきりウチナーグチだと思っていたのに、実は正当な標準語だ
った、ということばです。私にとって、その代表的なことばが「巡査」です。
子供の頃、親は「悪いことをすると、おまわりさんに捕まるよ。」と言っていましたが、祖母を
はじめ近所のお年寄りは「悪いことをしたらすぐ、巡査が来るよ。」と言っていたからです。交番
にいる、灰色の制服を着たおじさんのことを標準語では「おまわりさん」、方言では「巡査」と言
うんだな、と思っていました。「じゅんさ」という語感も、いかにもウチナーグチっぽいし。
子供の頃好きだった鬼ごっこのような遊びに「泥棒と巡査」というのがありましたが、あれも沖縄
独特の名称だと思っていました。後年「巡査」がれっきとした標準語だと分かって、ごめんね、オ
バア、あなたが言っているからといって全部方言ではないのよね、と謝りたい気分になりました。
「嫡子」も、長いことウチナーグチだと思っていたことばです。日本語では家督を継ぐ子のことで、
大抵の場合男の子を指しますが、沖縄では長男のことです。父が子供を紹介する時に長女の私は「いな
ぐんぐぁ(女の子)」、弟を「ちゃくし」、末の弟を「じなん」と紹介していて、私は「しーじゃ(
年長者)」と紹介されることもあったのですが、何だか「ちゃくし」は偉そうでいいな、と思って
いました。嫡子も巡査同様りっぱな日本語ですが、長男を「嫡子です」と紹介する日本人はいません
ね。日常会話でおまわりさんのことを巡査と言う日本人も、沖縄のオバアだけ?
未だに本当は何語か分かりませんが「けさらんぱさらん」も、ウチナーグチかと思っていました。
まだ新婚の頃掃除をしていた夫が「ひえー、ケサランパサランがいっぱい!」と言いながらワタ埃
を片付けていたので、おお、ワタぼこりのことをコザあたりではそう言うのか、と思ったのでした。
その語感からウチナーグチ以外の何ものでもない、と信じて疑わなかったのですが、しばらくすると
KesalanPatharan という新しいコスメブランドが人気になり、えええ、フランス語だったのか、と
衝撃を受けました。勝手にしばらくフランス語だと思っていましたが、どうも日本のブランドで、
「けさらんぱさらん」も東北地方で主に使われている「毛玉」を指すことばのようですね。
それにしても、私も知らなかった「けさらんぱさらん」を、KesalanPatharan が登場する前から
使いこなしていたコザ育ちの夫は、いったいどうやってこのけったいな言葉を仕入れたのか、非常に
興味深いです。
1/06/09
▲ページトップへ
このページに関するご意見、ご感想はこちらまで。
|