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[ちゃんぷるー・どっとこむ応援団(チバリヨー) 寄稿]

チャービラサイ/2011・正月

文・写真 稲福 達也

石垣島の年越し(U)

明けて、正月一日。僕たちは、定期観光バスに乗りました。桃林寺→唐人墓→名蔵湾→川平公園 →ポーザーおばさんの食卓 (昼食) →米原ヤシ林→玉取崎展望台→空港という約4時間30分のコ ースです。乗客は15人で、ほとんど県外の人のようでした。バスターミナルで出発前に運転手と 立ち話をしている絣の上着を着けた50歳がらみの男の人がいて、この人はバス会社の事務所の人 かなと思っていたら、定刻になるとバスに乗り込んできて、「男のお客さんはガッカリすると思い ますが、東観光バス唯一の男性ガイドMです」と自己紹介をしました。その言葉通り、僕はガッカ リしましたが、でも女性客も喜んでいるようには見えませんでした。それでMさんの絣の上着の意 味はわかったのですが、可哀想に思ったのはこの日も昨日と同じで風が冷たく、ガイドをしながら、 Mさんは、みるみるうちに鼻水が出て来たのです。そう、島の観光バスには暖房がなかったんです。 それでもMさんは、手がかじかんで三線が弾きにくいと言いながら、要所要所で民謡を7〜8曲も 披露してくれました。そうそう、石垣島の有名人と言えばかの具志堅用高ですよね。その記念館の 前を通過した時に、Mさんが紹介した具志堅用高伝説は、母校の高校の“伝統”は何かと訊かれて “ナショナル”と答えたというものでしたが、体育館の蛍光灯の小さな字がナショナルと読めるく らい目が良かったからボクシングが強くて13回もチャンピオンベルトを防衛できたのだ、と郷土 の英雄をちゃんとフォローしていました。
 黒真珠の養殖をしている川平湾では、出張で来た時にお土産で黒真珠を買ったこ とを思い出し、妻にその黒真珠はまだ持っているか訊いてみると、妻は、僕から黒真珠をもらった ことはないと言います。「そんなはずはない。絶対買った」とムキになると、妻が言うには「あな たにもらったものは黒真珠じゃなくて、黒真珠を内包する黒蝶貝の方です」。言われてみれば、僕 が買川平湾
ったのは、真珠ではなく、貝殻の方だったんです。そこで改めて黒真珠をねだられてはいけないので、 僕は、川平湾の碧さがなんか昔と違うように見えないか?と話を変えました。
 荻堂さん。東京の方はこれからまだ寒くなるんですね。暖かい春が早く来ると良いですね。それでは今年もよろしくお願いします。



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