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[ちゃんぷるー・どっとこむ応援団(チバリヨー) 寄稿]

チャービラサイ・冬

文・写真 稲福 達也

ソウルの雪

 アンニョンハセヨ、荻堂さん。今年の正月に初めて行ったソウルツアーのこと、街の様子や 食事などはイメージ通りでしたが、現地のガイドの話はなかなか面白かったですよ。
 例えば、鳳仙花の話。鳳仙花は沖縄の方言で“てぃんさぐ”といい、女の子が花で爪を染めて遊 んだものですが、韓国には、若い娘が鳳仙花で爪を赤く染め、初雪が降るまでその色が残っていた ら恋が実るという言い伝えがあるそうです。ロマンチックでいいなぁ、と思っていたら、「でも結 婚するためには顔が大事です」と、ガイドの話はいきなり美容整形のことに変わるんです。 曰く、 「親は、子どもが生まれるとすぐに顔を見て、目が一重瞼だったら二重瞼にする手術費を用意しま す。韓国では美容整形の金を親が出すのは当たり前です。一重瞼で産まれたのは子どもの責任じゃ ないですから」。 沖縄民謡の『てぃんさぐぬ花』では“てぃんさぐの花は爪先に染めて、親の言 うことは心に染めなさい”と歌いますが、韓国の親心は強烈です。  
 ソウルは予想以上に寒く、気温はマイナス10℃以下で、帰国の日の朝は雪 が降りました。仁川空港で別の旅行社のツアーに参加していた同期生のK君にたまたま会ったので すが、彼が「このツアーで一番良かったのは、雪が降るのを初めて見たこと」と言うので、僕は、 思わず方言で“マサカヒャー(信じられない)” と大声を出しました。すると、彼は、小さな声 で「ずっとウチナーにいるから、旅行で積もった雪は見たことがあるけど、降っている雪は見たこ とがないんだ」と言ってニヤリと笑いました。思い出せば、僕も県外で大学生活を送り、初めて雪 が降るのを見たときは、♪雪やこんこと歌う童謡に出てくる犬の雪のカップル
ように、学生寮の庭を喜んで駆け 回ったものですが、K君もホテルの玄関を飛び出して跳ね回りたい気分だったかも知れません。そ れにしても、雪が降るのを初めて見たのが外国だったというのは、ウチナーチュならではのことで すね。
荻堂さん。韓国のレンギョウの花が素晴らしかったと話していましたが、僕は、その季節にもう 一度韓国に行こうかと考えています。それでは、また便りを出します。



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