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[ちゃんぷるー・どっとこむ応援団(チバリヨー) 寄稿]

チャービラサイ/2013.秋

文・写真 稲福 達也

グルクンかまぼこ

チャービラサイ、荻堂さん。一昨日の台風23号に続く24号で、今日も仕事が休みになったので、貴女に話し たいと思っていた“グルクンかまぼこ”の話を書きます。
NHKで武内陶子アナとお笑い芸人の天野ひろゆきが全国各地の絶品食材を紹介する『うまいッ!』 という番組があります。毎週日曜日の午前6時台なので、あまり見ることはないのですが、たまたま見た9月第 1週のテーマが「沖縄の人気者!“グルクン”」でした。県魚のグルクンは、唐揚げで食べるのが定番ですが、 その番組で紹介したのがグルクンを原料にした僕が知らない“グルクンかまぼこ”でした。それでその試食の様 子を見ていたら、武内アナが 「涙が出るくらいに美味しい」と大絶賛して、本当に涙を手の甲でぬぐっていたの です。そんなに衝撃的な美味しさなら、それを放っておく訳にはいきません。早速いろいろ調べて、敬老の日に テレビで紹介された店を探して街に出ました。開南バス停を下って左手に入る小さな太平通り商店街で 「手づく りの店テルヤ」を見つけたのは開店時間の2時を少ししか過ぎていなかったはずですが、店頭のケースの中にか まぼこはわずか4本しか残っていませんでした。2本買って家に持ち帰り、すぐに妻と二人で食べました(1本 550円、8×20p)。僕は美味いものを探し出した満足感に浸たりながら食べ、妻は目に涙を浮かべるのではない かと一瞬思いましたが、 確かに独特のもっちり感があって美味しいとは言うものの、涙はさすがに妄想でした。 ちなみに、 かまぼこを入れたパッケージに貼られたタグシールには、賞味期限の月日が書いてありませんでし たが、美味しくてすぐに食べてしまうから、賞味期限なんか書く必要がないのです。 ぐるくんかまぼこ
ぐるくんかまぼこ

ぐるくん
ぐるくん
 しかし、 ついでに調べてみると、原料になるグルクン漁には問題もあるようです。「手づくりの店テルヤ」は、 宮古の伊良部島の伝統的な追い込み漁で獲る新鮮なグルクンを取り寄せているようですが、その追い込み漁が できる漁師グループは一組しか残っておらず、 高齢化も進んでいるそうです。県の統計によると、県内のグルク ンの水揚げ量は、ピーク時の1981年には県全体で1244トンだったものが、2011年には75.1トンに 激減し、そのうち伊良部島の追い込み漁の漁獲が約半数を占めているということですから追い込み漁の衰退は深 刻です。
 荻堂さん。もしかしたらそのうち県内のグルクンが食卓から消えてしまうかもしれません。そうなれば、グル クンかまぼこは美味しくて涙を流すのではなく、食べられなくなって泣いてしまうのです。台風23号は宮古の 方へ行きましたが、伊良部島の追い込み漁が心配になってきました。

10/15/13



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