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[ちゃんぷるー・どっとこむ応援団(チバリヨー) 寄稿]

チャービラサイ/2012年・新春

文・写真 稲福 達也

ヒジャイヌーディー

 チャービラサイ、荻堂さん。こちらでは桜まつりが始まりました。池の水も(ゆる)む季節はもうそこ まで来ています。
 さて、今回は、学校で音楽鑑賞会を実施した時の話です。県外から招いた女性声楽家のAさんとピア ニストのBさん、そして若い和太鼓奏者のCさんと一緒に昼食をとることになったのですが、僕の音楽 の知識といえば、カラオケは歌うがレパートリーはレコードの時代の流行歌で止まったままだし、楽器 はどうかというと、昨年一念発起して三線を習ったけど「チンダミ」(調弦) もひとりで出来ずに結局 放置したままという案配なのです。だから音楽の話題は避けたかったのですが、そうもいかなくなって、 僕は、 思いつきで和太鼓のCさんに 「和太鼓を打つのは右利きが有利というようなことがありますか ?」とトンチンカンなことを訊いてしまいました。Cさんが「?」という顔をしたので、「沖縄のエイ サーでは左利きの人を見たことがありません。
首里・龍たん池
首里・龍たん池
一糸乱れぬ集団の演舞のために右利きにしているかもし れません」と付け加えると、質問の意味が分かったようで、「和太鼓では右利きと左利きが互いに向か い合い、ちょうど鏡に映るように同じ動作をする演舞もあるので、右利きが奏者に向いているというこ とはありません。ピアノはどうでしょうか?」とBさんに笑顔を向けました。僕の質問をきっかけに、 3人の音楽家の話は楽器と利き腕の使い方で、ああだろう、こうだろうと、一気に盛り上がりました。 そして、最後に声楽家のAさんが「歌を歌うことに右利き・左利きは関係ないですね」と僕に言ったの ですが、それを聞いた瞬間、僕の頭は「沖縄にはヒジャイヌーディーがいる」と(ひら)めいたのです。
 荻堂さん。“ここで笑える人は、立派なウチナーンチュ!”ですね。方言で「ヒジャイヌーディー」 は「音痴」のことですが、「ヒジャイ」は「左」、「ヌーディー」は「喉」のことで、「ヒジャイヌー ディー」は「左の喉から歌声が出る歌の下手な人」ということになります。「音痴」ではその愉快なニ ュアンスは伝わりませんよね。
年明け早々おかしな話になりました。それでは今年もよろしくお願いします。

01/30/12



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