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[ちゃんぷるー・どっとこむ応援団
寄稿]
チャービラサイ/2011.秋
組踊
チャービラサイ、荻堂さん。もう11月。首里城祭の季節が巡ってきて、いつもは静かな首里
の街も少し賑やかになっています。
さて、この秋、新作組踊をひとつ見て、僕の組踊への理解が少し深まりました。昨年ユネスコ無形
文化遺産にも登録された伝統芸能の組踊ですが、実は僕は十年程前に一度見たことがあるだけでし
た。そして、その時は〈組踊は、中国皇帝の使節・冊封使を歓待するために首里王府の踊奉行・玉城
朝薫が創案した歌踊劇で、『二童敵討』や『執心鐘入』などの代表的な作品が今でも演じられている〉
という程度のことしか知らず、実際の舞台を見ると、恥ずかしながら僕には独特のセリフ回しの方言も
物語の意味もさっぱり理解できず、中国の冊封使は本当はどんな気持で組踊を鑑賞したのだろうと思
ったものです。
そんな僕がこの秋に見たという新作組踊は『組踊版・ももたろう』です。それは「組踊夕涼み鑑賞
会」と銘打って「国立劇場おきなわ」に隣接した野外石舞台で無料上演していて、僕は、たまたまウ
ォーキングがてらに覗いたのですが、子ども連れの観客が多かったこともあって、開演前にとてもわ
かりやすく丁寧な組踊の解説がありました。
「登場人物は、すり足で歩き、最初に自分で自己紹介のセリフを言う」(ソウナンダ!)
「背景は一幕で変わらず、登場人物が舞台を一周すると場面が変わったことになる」(ナルホド!)
「歌と三線に合わせて踊って感情を表現する」(ナントモ奥深イ!)
そんな具合に、お陰で僕も組踊のことを少し知ることができたのです。それにこの『組踊版・ももた
ろう』は、日本昔ばなしの「桃太郎」の沖縄版というだけあって、桃太郎のお供は、琉球犬と猿とヤ
ンバルクイナ、きび団子がサーターアンダーギーという愉快な設定になっていて、桃太郎が退治する
のも鬼ではなくて山原で村人に悪さをするキジムナーなんです。そのキジムナーも最後はちゃんと改
心して村人の友だちになるんですよ。
荻堂さん。若い人たちが熱演したこの新作組踊で理解不可能と思っていた僕の組
踊へのイメージも変わり、それからしばらくして首里城の「中秋の宴」というイベントで玉城朝薫の
『二童敵討』が上演されたので、僕はそれも見に行きました。あの独特の方言のセリフは日本語に翻
訳されて字幕スーパーで映し出されていて、僕はまだそれを追っかけて読むのが精一杯でしたが、貴
女に今度会う機会には組踊の話がもっとできるようになりたいと思います。それでは、また。 |
ライトアップの光が竜たん池に映る首里城 |
11/07/11
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