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[ちゃんぷるー・どっとこむ応援団(チバリヨー) 寄稿]

チャービラサイ・夏

文・写真 稲福 達也

トビイカ

 
 チャービラサイ (ごめん下さい) !荻堂さん、すっかりご無沙汰してしま いました。ウチナーは梅雨も明け、奥武島(オウジマ) ではトビイカの天日干しが始まったというニュースを見て、日曜日に妻と出かけてみました。今日 は、その話をしましょう。
 お昼過ぎに奥武島の橋を渡って漁港の方へ行くと、数人で天日干しの作業をしていました。車を 停めてトビイカが買いたいと声をかける
トビイカの天日干し
天ぷら店 と、もう一時間くらい干した方がいいとのこと。それで島を巡ってみたら、木陰にベンチをしつら えた天ぷら店があったので、そこで時間を潰すことにしました。青い海の涼しい風に吹かれながら、 アチコーコー(熱々)のイカ・さかな・モズク・アオサのウチナー天ぷらと氷ぜんざいを食べたら、 それだけですっかり癒された気分になりました。
 トビイカの方へ戻ると、麦わら帽子に作業着のオバアだけがいて、値段を訊くと五枚で千円。三 枚で千円という妻の予想は外れて、僕の予想がぴったり。 僕は気を良くして写真を撮り、買い物 は妻に任せました。その時、妻とオバアのやりとりを見て男の人が寄ってきていたのですが、妻の 話によると、その人が「僕も五枚買いたい、大きいのからね」と言ったのだそうです。するとオバ アが「図々しいねぇ、大きいのは四枚で千円さぁ、イカもそのために大きくなったはずよぉねぇ」 と妻に言うので、妻も「そうだよねぇ」と相づちを打った。それでその人は「このネエサンと一緒 でいいよ」と笑っていたそうです。家に帰って、早速焼いて食べました。妻はトビイカを十枚買っ たのに、十一枚ありました。オバアが黙って一枚シーブン(おまけ)してくれたのですね。オバア は、天日干しの腕だけでなく、人のあしらいの腕もいいのです。
荻堂さん。トビイカ漁は七月から十月まで。里帰りしたら、奥武島に行ってみて下さい。 それでは、また便りを出します。



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