Home> 沖縄でーびる> サイトマップ

[ちゃんぷるー・どっとこむ 応援団 (チバリヨー) 寄稿]

くわっちーさびら・その16

 

文・写真 稲福 達也

渡り鳥

 北海道の鶴居村と濤沸湖(とうふつこ)で渡 りの季節を待つ丹頂と白鳥(オオハクチョウ) を見た。餌場に大空の中を羽を広げて飛んで来る丹頂の 姿はさすがに優雅だ。戯曲『夕鶴』で機を織る女房のつう(・・) はどんな種類の鶴の化身か知らないが、丹頂が女性に変身すればそれはそれは気品が漂う 美しさに違いない。 それに比べて間近に見た白鳥は意外だった。湖上に浮かぶ姿は 『白鳥の湖』のバレリーナを連想もするが、水からあがると白く長い首に対して黒い雨靴を履いたよう なその足は短足で不格好だ。観光客があげる餌を奪い合う様もギャーギャーと騒がしいし、白鳥が女性 に変身すればどんな女性になるんだろう。 白鳥
濤 沸湖のオオハクチョウ
 沖縄にも渡り鳥が来る。ワシタカ科のサシバはその代表で、本土からフィリピン方面へ渡る中継地と して宮古諸島で一夜を明かす。今では国際保護鳥に指定されて禁猟になっているが、かつて宮古ではサ シバを捕獲して“タカジューシー”という料理にして食べていたことはよく知られている。民話などに 登場する鶴や白鳥と違って、サシバは人間ではなく“くわっちー(ごち そう)”に変身した訳だ。「鶴は好きか?」「ウン、美味しいよね」なんて会話 があれば驚いてしまうが、サシバならそんな会話も日常的に交わされていたんだろう。しかし、かつて サシバを食べていたからといって目くじらを立てることはない。それは自然と生活が結びついた島の文 化だったのだから。
 サシバが渡る10月、宮古諸島に約2週間で数万羽が飛来し、時には空を黒く覆う日もあるという。そ の群舞を見てみたいが、その時は香ばしくて美味だったという“タカジューシー”の話も島の古老から 聞いてみたい。



このページに関するご意見、ご感想はこちらまで

お名前:
メールアドレス:
ご感想:

HOME