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応援団
寄稿]
沖縄
でーびる・その25
文・写真
稲福 達也
ユラーティー
もう見か
けなくなったが、レストランのメニューに「ハワイアンプレート」というのがあった。一つのプレート(
皿)に半球状の白いご飯とチキンやハンバーグやマカロニサラダなどが盛られていて、妙な“アメリカ
匂い
”のする食べ物だった。ところが、県立博物館のホームページにある『日系移民1世紀展−弁当からミッ
クスプレートまで−』を見ると、どうやらハワイアンプレートは、ハワイでミックスプレートと呼ぶポピ
ュラーな料理のようだ。その資料によると、ミックスプレートは、サトウキビのプランテーション(大農
場)で過酷な労働を強いられた日本やポルトガル・プエルトリコ・フィリピン・中国・韓国などの移民が、
貧しい中でもそれぞれの弁当を分け合い交換しあって食べたことから生まれたもので、異なる民族の人達
がそれぞれの文化を守りながら交流を通して調和のとれた社会を作り上げたハワイの象徴だと紹介されて
いる。
それを読んで頭に浮かんだのは、数少ないものをみんなで“分け合う、譲り合う”という意味の“ユラ
ーティー”という方言である。貧しかった子供の頃、大人がお菓子などをあげる時は「
兄弟
でユラーティーしなさい」と必ず言ったものだ。ハワイには沖縄から多くの移民が渡っているが、
もしかしたら沖縄のユラーティーの心は、プランテーションで働く人々の心にも伝わり、ミックスプレー
トの形成に一役買っているのかも知れない。レストランからハワイアンプレートの文字は消えたが、共生
の時代を迎えるためには、ユラーティーの心を消してはならない。
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