[ちゃんぷるー・どっとこむ 応援団 (チバリヨー) 寄稿]

沖縄 (ウチナー) でーびる・その16

 

文・写真 稲福 達也

ニヘェーデービル

妻の運転で 山原 (やんばる) へ行った時、自動車道の料金所で年配の係員が領収書を渡しながら機嫌良くサンキューと言った 。サンキュー?もちろん英語のサンキューのことだが、考えてみると県外をレンタカーで旅行していて料 金所でサンキューと言われたことはない。妻の風貌は、その係員同様のれっきとしたウチナー (ヂラ) でガイジンかハーフに見えることもなく、サンキューと言われた妻もそれを不思議には思ってい ない。いろんな場面で軽く使うこのサンキューも、荻堂直美さんの愉快な「オバア達の外来語」にある ような、ウチナーンチュの会話に英語が交じるひとつの例だろう。この言葉の混在は、方言に英語がひっ ついて、“ ムサット (さっぱり) 、アイドンノー”と言いながら手を横に広げる仕草になることもある。 2本のビール
 オジイ自慢のオリオンビール 
 また、単語の使い方も テーゲー (いいかげん) で、友人と入った飲み屋でビールを2本注文したら、年配のホステスが「ワンピア、2本ね」と 言っていた。ビール1本はワンピアだが、2本はツーではないのだ。 
 アメリカ () がもたらしたそんな遺産はそれでいいが、思うにモノレールや自動車道の料金所ではいっそ方言 で「 ニヘェーデービル (ありがとうございます) 」と言ったらどうだろう。そうすれば、若い人の間で死語になりつつある方言が一つでも残せる し、観光客の間でも宮古島では同じことを「タンディガータンディ」と言っていたと話題が発展すれば、 沖縄でも地域で言葉や慣習が違うということが理解されるようになる・・かな? 

お詫び
 先週お知らせのページで、本コラムを安易に下のように紹介してしまいました。
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「沖縄でーびる」の 「その16・ニヘェーデービル」をアップしました。このタイトルは沖縄語でありがとう、という 意味です。私は「二フェーデービル」と表記したいのですが。それと、文中に「ひっつく」という言葉 が出てきますが、これって「ウチナーヤマトグチ」じゃないかなあ。稲福氏の語り口を味わってもらい たくて、あえてそのままにしましたが・・・まず、読んでみて下さい。 1/21/04  
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それに対する稲福氏のメールは下の通り。
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その16のアップを見ました。新着情報にある2点について。 その1、「ひっつく」は、れっきとした日本語で、広辞苑にもあり漢字表記は「引っ付く」。ウチナーヤ マト口ではないです。
「ひっつく」を「ヒッチチュン」、「くっつく」を「クッチチュン」と方言にして言うが、それぞれの逆 は日本語。方言には「タックヮワイン」もあり。
その2、「ニヘェーデービル」は、僕は「二拝」(感謝の意で二度「拝」する)と思っていたが、『沖縄 語の入門』によると「御拝(ミハイ)」のことで、沖縄方言では日本語の「ミ」と「二」が入れ替わって 発音される例があるらしい。「右」の「ミギリ」が「ニジリ」のように。その本も「ニフェー」になって いるが、我が首里の当蔵通り会が大通りに立てている旗は「ニヘーデービル」の表記になっている。とい うことで、「ニフェー」も「ニヘー」も私の「ニヘェー」も耳に聞こえる音でどれでもよしとしましょう。
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安易にその語感から「ウチナーヤマトグチ」ではないか、と書いてしまった自分の軽率さを深く反省す るとともに、稲福氏ならびに読者の皆さまに深くお詫び申し上げます。


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