[ちゃんぷるー・どっとこむ
応援団
寄稿]
沖縄
でーびる・その13
文・写真
稲福 達也
沖縄の子
東京のIさんは、時間があれば沖縄に遊びに来て、すっかりウチナーンチュになりつつある自称「
うちとんちゅ
」である。その彼女が勤める保育園に両親が沖縄出身の園児がいて、その子が、昨日何を食べたか
という話の時に「パパヤー」と答えたり、散歩の時にススキを見つけて「さとうきび!」と言ったりす
るので、沖縄通のIさんが、「パパヤーはパパイヤのことで、沖縄では果物としても食べるが普通は青
い果実を野菜として
炒め物
にする」とか、「さとうきびの花はススキの穂に似ている」と説明するのだが、保育園の先生達
には不可解で、沖縄の子は変わっている、ということになっていたらしい。
パパイヤといえば、昔の小学生が
あられ
を青いパパイヤの中に詰まった丸く小さな白い種に喩えた作文を読んだことがある。沖縄には長
年あられが降る寒い冬が来ないが、私が子どもの頃はよくあられが降った。トタン屋根やその周りでパラ
パラと音がすると、あられだ!と洗面器やザルを持ち出し、その冷たさに触れたり静かに溶けていく様子
をじっと眺めたものだ。そんなあられのようすをその作文では「外はいちめん、パパイヤの種をまき散らし
たようにまっ白だった」と表現していたが、身近にあるパパイヤを引用する所が沖縄の子どもらしさに溢
れている。Iさんの保育園にいた沖縄の子も、故郷のパパイヤの味やさとうきびの穂が風に波打つ風景を
いつまでも覚えていて欲しい。
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