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今月のレビュー

このページでは、沖縄関連の本、音楽、コンサート、映画などを論評(レビュー)していきます。

今月は、去る10月10日(日)日比谷野外音楽堂で開催された琉球フェスティバル’10 です。 

出演
古謝美差子
大工哲弘
宮沢和史
上々颱風
パーシャクラブ
ローリー・クック
よなは徹
池田卓
大城クラウディア
さんさな

司会
ガレッジセール
今年は9月に自宅の引越し、仕事場の引越しと続き、はたして琉球フェスティバルに行けるん だろうか、と危惧していましたが、何とか後ろの方の席のチケットを買うことが出来、やって来ました。 去年で味を占めた夫も一緒です。入場時の手荷物検査の時、「ハードリカーお断り」の貼り紙があって、 ビールの持ち込みはOKだったので、今年は泡盛飲めないんだな〜と思っていたら、夫が着席した 瞬間に舞台横の瑞泉の幟を見つけました。げに恐ろしきは酒飲み(さきぬまー) の勘。トップバッターのサンサナーの歌が終わると早速買いに走っていました。もちろん私の 分も。

5分ほど遅刻し、今年もうちなータイムではなく定刻どおりに始まったらしく、サンサナーの歌は 最後の方しか聞けませんでした。残念。でも若くて可愛くて元気があって、いい感じでした。

次に登場した池田卓は好青年という感じで、歌もすごく素朴。悪くないけど、今後も続けて いくにはちょっと辛いかなあ、という昭和チックなフォークソングを歌っていました。頑張れ。

幕間では、すっかり恒例になってるようです、お客さんが司会のガレッジセールにお酒を勧め られていました。去年つぶれてしまって最後まで務められなかった川田くんはおつまみ専門、お酒はゴリ にまわす、という感じでうまくかわし、今年は意外と元気に最後まで舞台に立っていました。その あおりを食ったゴリは途中からろれつも回らず、同じことを繰り返し話すようになり、完全に酔っ払って いました。舞台裏ではパーシャクラブの新良幸人のウィスキー攻めに遭っていたみたいだし。だけど、 それでも一緒に出演してた女子アナの頑張りもあってか、舞台は進むからすごいな、 と思いました。ガレッジセールも、出演者も、酔っ払いも音楽も全てを楽しもう、っていう観客も。

べろんべろんの司会者に代わって登場したのが、何とも可憐な大城クラウディア。実は今年の琉フェス 私の一番のお目当ては彼女でした。以前ラジオで歌声を聞いて、アルゼンチン生まれのウチナーンチュ 2世なのに、何と古典的な歌唱の島唄か、と驚いたことがありました。期待に違わぬしっとりとした 島唄に酔いしれました。彼女を見出し、プロデュースをしているらしい宮沢和史とのデュエット、私の 大好きな二見情話(これは島唄に何の関心もなかった子供の頃から好きだった)も良かった。

ただ、ソロで歌う宮沢和史には全く関心なし。沖縄のことが大好きで、沖縄ブームの立役者 なのは認めるけど、着物姿で三線を弾いてもあの歌唱がどうにも好きになれません。頑張っている けど、それだけに痛々しい感じ。最後の「島唄」は、てっきりバンドをバックに歌うのかと思ったら 三線だけのシンプルな唄で、あれだけ盛り上げたのはさすが、と思いました。

次に登場したローリークックは初めて聞くミュージシャンで、コザ出身ということで面白そう、 (何てったって喜納昌吉や照屋林助を生み出した街ですから)と思っていたのですが、めちゃめちゃ ハードなロックで良かったです。三線や太鼓、歌唱法など、沖縄っぽいところは一つもないのに、 コザ発祥のロックだなあと思わせる何かがある。ライブに行ってみようかな、と思わせる存在感でした。

次のよなは徹は、司会者が予告していたのですが、長い髪を剃りあげて、痩せた松山千春みたいに なっていました。本当に上手な島唄歌いだと思うのですが、完全にポップなロックで、会場も 予定調和のように乗り乗り。楽しかったけど、毎年のことなので髪型以外の意外性はなく、ちょっと 物足りなかったかな。

全然期待していなかった次の上々颱風が、意外に良かった。宮沢和史同様ヤマトゥンチュ なのに、なぜこんなに受け入れてしまうのだろう、と考えながら聞いていました。沖縄っぽさを取 り入れながら、彼女たちの音楽は島唄ではなく、はっきりとした彼女たち独自の個性があるからだ、 と思いました。

私の予想に反してトリではなかった大工哲弘の音楽も、取り立てて好きなわけではないのですが、 今年はトークで10月10日は那覇に大空襲があった日、と話してくれたのが良かった。こんな風に沖縄の 唄や踊りが楽しめるのも、平和だからこそ、というメッセージは、沖縄のライブならどこかに欲しいし、 私たち観客は胸に刻むべきです。昔10月10日が体育の日で休みだった頃、私の父は必ずその日に 十十(じゅうじゅう)空襲の話をしていました。 だから、私にとっては体育の日と言うより十十空襲の日。多くの人に知って欲しいと思っていたことなので、 ここで大工哲弘が話してくれて、嬉しかったです。そして、その話の後、♪空襲警報聞こえてきた ら、今は僕達小さいから・・♪という歌い出しの「防空壕のうた」をさらっと歌ったのでびっくりしました。 昔母が歌っているのを聞いて、子供にこんな歌を歌わせていたなんて、と怒ったことがあったからです。 大歌手の大工哲弘が歌ってもやっぱりつまらない歌で、こんなろくでもない歌ではなく、このフェスティバルで 歌われているような素敵な歌を自由に歌える今の時代に生まれて本当に良かった、と思えました。

今年のトリは、貫禄十分な古謝美佐子。最初の曲(タイトル忘れました)とその後のメドレー曲は 声が割れていて大丈夫か?な感じでしたが、最後の「童神」を歌う頃にはいつもの伸びのある声に戻って いました。遊びに来た夏川りみ(舞台には登場しませんでした)の赤ちゃんを抱っこして歌っていたのですが、 最後は会場全体が赤ちゃんを包み込むように歌っていて感動的でした。ファンはこの代表曲を聞かないと 気がすまないのでしょうが、私は(私もファンですが)ちょっと飽きていて、「ポメロイの山々」とか他の 曲が聞きたかったかな。

最後は出演者全員で安里屋ユンタを合唱し、お決まりのカチャーシーで締め、はァ〜今年も終わった、と思ったら ライブ開始から4時間が経っていました。来年も来るはず。

10/21/09

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