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1昨年のクリスマスに友人から「天架ける橋」をプレゼントされて以来、ほとんど毎晩のように古謝美
佐子の歌声に癒されている。伝統的な島唄特有の歌声と三線、西洋楽器との絶妙なブレンドに、最初に
「サーサー節」や「家路」を聞いたときは文字通りキーブルダチャー(鳥肌が立つ)した。なので、今
回も弦楽四重奏団が共演することを確認してからチケットを購入したのだ。 今回の「うりずんの唄会」は、昨年夏の元ネーネーズのメンバーや夏川りみとのジョイント・コンサ ート「いなぐどぅし」(女友達)に続き2度目で、前回は民謡ショーの規模が大きくなったような、賑 やかな感じだったが、今回は会場が新しくモダンなパブリックシアターということもあってか、ステー ジ全体が黒を基調としてシックな感じ。休憩を挟んで前半は沖縄のウシンチーと呼ばれる着物姿、後半 は濃いねずみ色の着物地のシンプルなドレスに白のひだスカート(正式には何というのだろうか、昔の 琉球王国の女官や天女が着ているようなやつ)といういでたちの古謝美佐子が島唄を中心に、他の歌手 にも次々とカバーされて話題の自作曲「童神」、アイルランド民謡などを、切々と歌い上げていく。 今回のコンサートの前半のメッセージは「反戦」である。「嘉手納に生まれ育ったものとして、私は (戦争の悲惨さを)子や孫に伝えていく」と彼女自身も語っていたが、米軍のパラシュート生地を張っ た三線「落下傘ばい」を弾きながら歌う「屋嘉節」「PW節」、「黒い雨」などは彼女の反戦というか厭 戦の祈りにも似た思いがひしひしと伝わってきた。圧巻はアイルランド民謡「ポメロイの山」である。 言葉の意味はほとんど分からなかったが、哀調を帯びたメロディーを真摯に歌う彼女の姿に、声高では ないけれど反戦のメッセージが、戦争によって傷つく人の痛みが確かに伝わってきた。 コンサート後半のメッセージは「人生いろいろあるけど、思っていれば、お祈りしていれば願いはか なう。」「いなぐどぅし」では歌われなかった「家路」が歌われて個人的に大満足だったのだが、その 歌の後に病と闘う友人を励ます思いを込めていたことを知り、胸を衝かれた。大サービスのアンコール の最後「この星が少しでもよい場所になるように、これからも歌い続けます」という言葉は大げさでは なく、彼女は唄者としてそれだけの使命と力量を持ったアーチストなのだと納得したコンサートであっ た。 古謝美佐子の公式サイトへはこちらをクリック!
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