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69.首里城
首里城には、無料で観られる観光客向けの「舞いへの誘い」という催し物があります。始まった
当初は古典踊りではないものもあったのですが、何年か前から古典踊りだけになりました。琉球舞
踊を習い始める前は、20分もする踊りは飽きてしまい、「観光客向けじゃない」と思っていました
が、今は「この人は上手」とか「この人はなんかへたくそ〜」とか、見る目が変わってきました。
時間があるときは観に行くようにしていて、私にとって首里城の「舞いへの誘い」は、琉舞のお稽
古だけで終わる私の沖縄旅行の中で、たった一つの観光といえるものでした。
その「観光」である首里城の舞台で、なんと、私は先日踊ったのでした!首里城はレプリカだけ
ど、でもやっぱり首里城。王様が住んでいたグスクなのです。そこで踊れる日が来るなんて、夢の
ようでした。しかも、観光客相手の催し物に出るとなると、じゃあ、私は観光客ではないのか?と
いうような、錯覚まで起こしてしまう感じでした。・・・よくわからないと思いますが、気分はう
ちなんちゅだったのです!
私が踊ったのは「かせかけ」。これは古典女踊りで「愛しい人にすてきな着物を織って差し上げ
たい」という女心を歌った曲です。先生にいつも「恋している気持ちを思いだして踊りなさい」と
言われるのですが、どうにもこうにも、年を重ねるごとに性格がいばりんぼになり、「愛しい人の
ために・・・」という気持ちを忘れてしまい、なかなか表現できない私なのです。でも今回は、今、
読んでいる「百十踏揚(ももとふみあがり)」という小説を思いだし、大好きな阿麻和利さまをお
慕いする気持ちで踊ることにしました。(話は逸れますが、私は10年ほど前から勝連城・阿麻和利
さまの大ファンなのです。阿麻和利さまについての私の恋する気持ちはまた今度、詳しく・・・!)
さて、踊りが始まり、首里城の畳の舞台を、なんだか昔にタイムスリップしたような感じで出て
行きました。観ているのはもちろん観光客なので、ビデオを撮っている人が目に入ったり、カメラ
のシャッターが切れる音がして、「沖縄の伝統芸能」の一駒として、私が映っているんだ・・・!
という責任のようなものを感じました。私がうちなんちゅではないから、そう思うのであって、た
ぶん、ここで踊るほかの人たちはそんなに深く考えないのかもしれません。でも、うちなんちゅで
はないから、余計にきちんと伝えなければならないと思うのです。私が間違えても間違えなくても、
きれいに踊れていても踊れていなくても、観光客は「これが沖縄の伝統的な古典女踊りなんだ」と、
インプットしてしまうのです。これは責任重大です。楽しいとかきれいな衣装の踊りがいいとか言
っていないで、来月の首里城も、がんばらなくては!
舞台って、楽しいです。
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