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[ちゃんぷるー・どっとこむ 応援団 (チバリヨー) 寄稿]

(カナ) さ、 沖縄 (ウチナー)

いとうまきこ

57.琉球古典芸能コンクール

 てん とぅん てん てん とぅん てん・・・舞踊「かせかけ」の音楽が鳴り、舞台の袖から足 を運ぶ寸前に緊張のあまり涙があふれてきてしまいました。なんでこんなに緊張しているのかわから ない、誰か助けて!もうこのまま引き返したい!・・・そう思いながら舞台の中央の方まで進み、踊 りが始まってもまだ心臓はどきどき、いやいやどきどきなんてものじゃありません、ドクドク、バコ バコ、ドカンドカンという感じ。節目節目で息を吐いても吐いても吐いても吐いても、まったく落ち 着かず、ただただ基本に忠実に朝のお稽古で言われたことや、いままでのお稽古で注意することを、 ひとつひとつ思い出しながら踊るのみでした。緊張したまま下手に戻り、涙がぽろりんとこぼれそう になったのですが、ものすごいお化粧をしているので、結婚式の時にヘアメイクさんに「涙をぽろん とこぼさないように」と言われたことを思い出し、ぐっとこらえたのでした。緊張しているんだか、 落ち着いているんだかよくわからない私でした。
 化粧直し、衣装替えをして、午後は男踊り「上り口説」。楽屋裏で先生と1回練習したら間違えて 「ぎょっ」としましたが、私の先生は心の広い優しい先生なので「大丈夫さ〜いつもはできているん だから」と言ってくれました。私の順番が来てまたもや緊張の一瞬、音が鳴り、今度は舞台の中央に 出ると急に落ち着き、晴れ晴れとした気分になり、自分でもびっくり。踊っていくうちにどんどん楽 しくなっちゃって、女踊りとは全く違う心境で、「楽しい!最高!何でこんなに楽しいのかわからな い〜!!!」と叫びたいくらい、舞台で踊っている自分に酔っているような感じでした。踊り終わっ て先生の顔を見たら、今度は「楽しかった〜!」と涙がこぼれそうでした。 踊り終わって本当に心 の底から「踊りってすばらしい。」と思った私でしたが結果は、落選。でも、挑戦してよかった。こ んなに緊張したことも初めてだったし、こんなに踊りが楽しいと思ったのも初めてでした。ただ、落 選の結果が出てからは、「楽しいのが一番!」と、私と一緒に喜んでくれた先生に申し訳のない気持 ちでいっぱいになり、「私がコンクールに出るということは先生の道場から先生が私をコンクールに 出すということなんだ」という当たり前のことに、落選して初めて気づき、それがとっても悲しくな り、先生に謝りながら泣きました。
 いろいろな涙を味わった2008年のコンクールは終了、来年は私のためではなく、先生のために完璧 に踊りたいと思っています。
 

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