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寄稿]
愛
さ、
沖縄
12.鯨
沖縄の冬といえば「鯨」。 初めて鯨に出会ったのは、3泊4日で母を座間味に連れて行ったときのこ
とでした。鯨と、母の体験ダイビングがメインの旅でしたが、私の旅なので、もちろん嵐!座間味行き
の船は欠航し、泊港で、あかの他人に「座間味に行く予定でしたか?セスナをチャーターして座間味ま
で行きませんか?」と声をかけ、やっとの思いで座間味に到着。しかし、フェリーが欠航するような天
気ではホエールウォッチング船は当然欠航なのでした。3月下旬なのに座間味の寒いこと寒いこと!太
陽を見た記憶のない4日間でした。船が出るのを毎日待ち、ビーチダイビング、鯨に出会った人達のビデ
オを見る、鯨の声を聴く、鯨の写真集を見る・・・という日々を過ごしました(2日間だけど)。展望
台からはブローは見られるものの「せっかく来たのに、鯨見られないんだ・・・」としょんぼり気分。
鯨に会いたい気持ちはどんどん大きくなるばかり。そして、ついに迎えた3日目、今日船が出なければ
もう諦めなければなりません。午前中は欠航、お昼ご飯も喉を通らないくらい悲しみにくれていた私に、
船長は言いました。「波は高いけど、船を出そうではないか!」船長はこの時期の来島者には必ず鯨を
見せたいという熱い思いを持っている方でした。私は、一緒に宿泊し毎日首を長くして待っていた方達
と意気揚揚と船に乗り込み、船は荒れ狂う海へ。もうすぐ逢える、もうすぐ逢える!!!・・・しかし
大揺れの船からは鯨はなかなか見つけられず酔う人が続出。船酔いしない私はゆらゆらしているうちに
眠くなってしまい、椅子から転げ落ち、笑いを取りました。かっこわるい・・・。もうこんな時化た海
では鯨には逢えないだろうと誰もが諦めかけた時、「鯨!」という声が聞こえました。毎日鯨を見て喜
ぶ人達のビデオを見ながら「そんなにキャーキャー叫ばなくてもよかろうに、ふん!大袈裟な!」と思
っていた私たちはそんな気持ちも忘れ「キャー!鯨だ〜!キャー!しっぽ〜!!キャー!親子〜!キャ
ー!子どもだ〜!」・・・黄色い声とともに、涙を流したのでした。なんと、鯨は私たちの船の下を親
子で通り、本当に感動的でした。船を下りるとき船長はみんなと握手し、「いやー、こんなに苦労した
ことはなかったよ。本当によかったよかった」と、喜んでいました。
そんな中母は、あんなにみんなが騒いでいたのにしっぽがビューンと上がった瞬間を見逃していたの
です・・・。ああ、なんということ!更に、旅の一番の思い出は「63歳にして初めて海に潜った、体験
ダイビング」だったそうです。
私はと言えば、沖縄の冬には鯨を見に行くことを定着させ、毎年見ていますがある時ダイビングショ
ップで言われました。「鯨遭遇率98%という広告に踊らされるな。見られない人はたくさんいてもそ
の人達には‘残念ですねえ、2%です”と言っているのだ。自然を甘く見るな。」・・・確かにいかに
もその通り!いつも見られると思ったらおおまちがい。そうそう、見られない時だってあるさ・・・と
いいきかせて、再来週、今年2回目の鯨を見に沖縄へ行く私です。
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